V-ALERT by i-dio

V-ALERT導入事例 福島県喜多方市 公設民営型V-Low中継局の整備を行い喜多方・塩川地区の全戸へラジオ型受信機を無償貸出

V-ALERT戸別受信機を対象地区に16,000台貸出し、
自治体合併後の情報不均衡を解消

喜多方市は、平成18年に福島県喜多方市、熱塩加納村、塩川町、山都町、高郷村が新設合併し新「喜多方市」となりました。合併後、旧喜多方・塩川地区には既設のアナログ防災行政無線が未配備であったことから、V-ALERTを導入し2018年12月から本格稼働しました。対象地区の全戸(16,000台)にV-ALERT戸別受信機を無償貸出し、あわせてV-ALERT屋外拡声器も整備することで災害情報の不均衡の解消に取り組んでいます。

※この記事は、2018年11月28日に仙台市内で開催された「西日本豪雨の教訓から考える 自治体災害情報伝達の高度化セミナー【仙台会場】」における同市の講演内容を基に再構成したものです。記載の内容は講演当時のものです。事業内容については随時変更されることがありますので、喜多方市内にお住まいの方は、同市が設置する問い合わせ先に直接お問い合わせください。(https://www.city.kitakata.fukushima.jp/site/v-low/

福島県 喜多方市 概要

喜多方市は、福島県会津地方の北部に位置し、毎年180万人の観光客が訪れる人口約5万人の観光都市です。「喜多方ラーメン」や「蔵のまち」として有名ですが、最近では豊かな自然を活かし、地域資源としての「花」をテーマにしたまちづくりを進めています。
人口 47,203人 16,668世帯(平成30年9月1日現在)
面積 554.63平方km

福島県

喜多方市におけるV-Lowマルチメディア放送検討の経緯

市から避難指示などの情報をお知らせするための市町村同報系防災行政無線は、市町村合併前に熱塩加納村・山都町・高郷村は整備されており、地区内の世帯全戸に戸別受信機が配付(無償で貸付)されていました。しかし、人口が多い旧喜多方市・塩川町は戸別受信機が高価であるなどの理由から、整備計画が進まない状況となっていました。
そこで、V-Lowマルチメディア放送制度が新設されることに全国でいち早く着目していた同市は、平成24年からきずなプロジェクト連絡会議を通じて「喜多方・会津地方V-Low実証実験協議会」を主導し、喜多方市内にV-Low実験放送設備を設置して、自ら防災情報の伝達や、平時の地域情報提供等に活用する「デジタルコミュニティ放送」の実現を目指して実証実験を展開してきました。(http://www.kitakata-vlow.org/

V-Lowマルチメディア放送が防災行政無線の代替として有効に活用でき、戸別受信機(防災ラジオ)も安価であることを実証できた一方、喜多方市が目指した喜多方市及び周辺市町村をエリアとする「デジタルコミュニティ放送」は、ジャパンマルチメディア放送による商用放送が全国に普及した後まで、制度整備が先送りされることになりました。そのため、喜多方市内にV-Low喜多方局を建設し、放送免許はジャパンマルチメディア放送グループの株式会社VIPが取得するという、いわゆる「公設民営」の方式を採用することで、事業の実現を前倒しする協定を締結しました。
V-Low喜多方局は平成30年5月から放送が開始され、あわせて平成29年度から平成32年度までの4年間で、V-ALERTをはじめとする多様な伝達手段に一括発報が可能な「V-Low災害情報連携システム」と、喜多方・塩川地区におけるV-ALERT受信設備(戸別受信機16,000台、屋外拡声器44基)の整備を実施する運びとなりました。

V-Low喜多方局 概要

V-Lowマルチメディア放送の放送エリア
V-Lowマルチメディア放送の放送エリア
V-Low喜多方局
V-Low喜多方局
出力1.8kW
(最大実効輻射電力 5.6kW)
福島県喜多方市
設置者 喜多方市
免許人 株式会社VIP
エリア内人口 35,887世帯(福島県喜多方市、湯川村、会津若松市、北塩原村、西会津町、会津坂下町、柳津町、会津美里町の一部)

一元対応可能な連携発報システムの設計

喜多方市では、V-ALERTに限らず、コミュニティFM放送、喜多方市HP、SNS(Facebook、Twitter)、登録制メール、L-ALERT、緊急速報メールにも連携発報が可能な連携システムを同時に整備しています。本システムの整備は株式会社NTTデータ東北が担当されました。
(参考:NTTデータ東北によるプレスリリース
https://www.nttdata-tohoku.co.jp/newsrelease/20181203.html

システム全体イメージ(資料提供:NTTデータ東北)
システム全体イメージ(資料提供:NTTデータ東北)

喜多方市では、多様な伝達手段を確保しつつ、限られた人数の職員での運用を確実にするため、1回で発信を完了できる連携発報の確立に注力したシステム構築を行いました。
さらに、V-ALERTがクラウドを通じて発報可能なシステムであることを利用し、LTE通信網のプライベートのネットワークを使って、スマートフォンからも簡単な音声を録音して情報システムに配信できる仕組みを整えました。クラウドで完結しているため、市庁舎内の放送室にはパソコンのみが設置されており、災害時には柔軟な運用を可能としています。さらに、県防災システムへの入力を必要とする避難勧告や避難指示などの入力情報は、県防災システムから内容によりLアラートを経由して、V-Low災害情報連携システムが取り込むことでV-ALERT等への連携を可能とし、一度の入力で周知可能となっています。また、避難情報は情報システムから直接入力することもでき、V-ALERT等と同時にLアラートへの配信も可能で、結果複数の入力手段を有することから、全体としても冗長性が確保されており、災害時の可用性が担保されています。

地区内への戸別受信機全戸貸与の取り組み

今回、同市では喜多方地区の119行政区、塩川地区の67行政区で、合計186行政区の居住世帯等に、16,000台のV-ALERT戸別受信機(V-Low防災ラジオ)を順次貸与しています(本稿執筆時点)。各行政区の集会施設で、集団説明会を2018年4月から開始しており、2018年12月時点では78行政区で配付が行われています。

V-ALERT戸別受信機(MS-VL2)

担当者からの声

担当者からの声 情報政策課の小林 修係長に、全戸配付の取り組みについて伺いました。

――大規模な端末展開を実行するにあたって、具体的なオペレーションにお悩みの自治体も多いようです。端末の貸与作業にあたって課題はありますか?

喜多方市内でも、住宅密集地区では地元コミュニティの濃淡に違いがあって、説明会への参加率にも違いが出ています。
集会施設での説明会は、平日の夜に行い、その後市施設にて平日と休日の2回と合計で3回実施しています。全地区で説明会が終われば、未参加者に再度案内する予定です。再案内については効率化のために、メールや予約制での対応を検討しています。
長期的な維持管理を行うことを想定して、「防災ラジオサポートセンター」も立ち上げました。システム監視などでスタッフが常駐している地元のIT企業に委託をしています。地区説明会も主催者である市の担当者として同席はしますが、運営はサポートセンターにお願いしています。
住民が市外に転出する場合に、貸与した端末をどう管理するかについては、類似の事業を展開する周辺自治体にもヒアリングしましたが、結果的には、V-ALERT戸別受信機(MS-VL2)の端末に貼られているシリアルナンバーのバーコードを読みとり、住民の情報と紐づけて管理するシステムを用意しました。これの開発・運用も、地元IT企業がこれまでの行政システムの開発のノウハウを基に行っています。

――住民からの反応や問い合わせはどうですか?

説明会を省力化するために、説明会の過程で多かった質問を取り入れた操作説明ビデオを作成し、上映するように改善しました。あわせて事業内容の紹介ビデオも作成しています(これらの映像は市の公式YouTubeで見ることができます)。映像は、地元のコミュニティFM会社に作成を依頼しました。ビデオを見ただけで内容が理解できた人は、そこまでで説明会を退席して良いようにしているのですが、かなりこれで問い合わせは減りました。

映像を作成する上で悩んだのは、V-ALERTをどのように説明するかです。私共も悩みました。V-Lowマルチメディア放送は厳密には「防災行政無線」ではありませんが、住民にとっては、防災行政無線なのか、V-ALERTなのかというのは関係がありません。一方、この地区のご高齢の方には「防災無線」という言葉には馴染みがあるようです。住民用の説明ビデオでは、あえて防災行政無線という言葉を多めに使うことになりました。
これから本格運用が始まりますが、今後は、平常時の活用を含めて、具体的な運用を検討して行きたいと思います。

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