V-ALERT by i-dio
V-ALERT 導入事例 静岡県 焼津市 高齢者・身体障がい者等の情報弱者への緊急情報の伝達手段の一つとして、V-ALERT戸別受信機の購入補助を導入
V-Low放送エリアとなったことを契機に情報弱者への導入を迅速に決断

静岡県焼津市は、2018年度から特に情報弱者に対する情報伝達手段として、V-ALERTの導入をすすめています。防災意識の高い東海地方において、住民の自主的な購入に対する購入補助施策を採用された焼津市に、その狙いを伺いました。

※この記事は、2018年11月12日に静岡県内で開催された「西日本豪雨の教訓から考える 自治体災害情報伝達の高度化セミナー【静岡会場】」における同市の講演内容を基に再構成したものです。記載の内容は講演当時のものです。補助制度については随時変更されることがありますので、申込みを検討されている住民の方は、焼津市役所に直接お問い合わせください。

静岡県 焼津市 概要

静岡県の中心部に位置する人口約14万人の自治体。桜えびの特産地であり、全国有数のまぐろ、かつおの水揚げ量でも知られ、ふるさと納税では全国2位の申し込み金額を誇る(平成28年度)。防災分野では全国的にも先進的なドローンの導入実績がある。

人口 139,929人 56,851世帯(平成30年10月1日現在・外国人を含む)
面積 70.31平方km

静岡県
焼津市における課題

焼津市は職員の総人員数1,471名、その内、市立病院の医師や看護師などを除くと約700名で、そのうち防災部には16名が所属します。災害発生時には情報収集・現場活動・広報活動などに追われる中、住民への情報伝達を最優先するべく、同報系防災行政無線、テレビ・ラジオとの連携、広報車、防災メール、緊急速報メール、Yahoo!防災をはじめとするウェブサービスとの連携などを整備しています。

同報系防災行政無線は200局の屋外拡声子局のデジタル化工事を平成30年までに終えており、過去に配布された防災ラジオ(アナログ方式)や、合併前の旧大井川町で配布されていた戸別受信機などが並行運用されている状況です。

焼津市の主な情報伝達手段

以上のような状況から、多重化の推進は必要であるが、人員や体制に課題を感じつつ、高齢者や身体障がい者などの情報弱者への情報伝達を迅速・確実に行う手段を模索されていました。

情報弱者に向けた戸別受信機の導入決定までの流れ
V-Lowマルチメディア放送の放送エリア

焼津市は2016年10月に放送を開始したV-Low静岡局(送信所)により、V-Lowマルチメディア放送の放送エリアとなりました。静岡局は焼津市と静岡市の境界に位置しており、良好な受信環境を市内全域で実現しています。
これを契機に、防災訓練でのV-ALERTデモンストレーションなどを踏まえて、置局などの大規模な投資が必要なく、迅速に導入可能なV-ALERT受信機の導入を決定するに至りました。

導入にあたって焼津市では、携帯電話やスマートフォンなどを持たない高齢者や身体障がい者等の情報弱者に対して、V-ALERT方式と、ケーブルテレビ会社が提供するIP告知端末の2種類の機器に対して、購入代金の補助制度を設けており、段階的に募集しています(2018年11月時点では第2期の募集を実施中)。いずれの機器も、「緊急情報を受信すると自動的に起動し、文字情報と音声の両方で情報提供を行う」ことを特徴としています。

補助対象となるのは(本稿執筆時点において)焼津市内に居住する、
1) 独居を含む75歳以上の高齢者のみの世帯、
2) 避難行動要支援者本人または要支援者が同居する世帯(要介護3、身体障害者手帳1級または2級、療育手帳A、精神障害者保健福祉手帳1級などが該当)
としており、2018年11月5日時点で122件の補助申込みがあるといいます。申込は全体の約3/4が高齢者で、特にV-ALERTが、月額利用料などの負担もなく、ラジオ型の馴染みやすい形式からも、圧倒的なシェアを占めています。
焼津市では補助対象となる概ね1万世帯のうち、両方式あわせて1,000台の導入を概ね5年間で達成したいとしています。無償貸与ではなく、あえて購入補助の形をとったことで、住民に、積極的に機器を活用していただくことが期待されています。

担当者からの声

焼津市 防災部 地域防災課の増井悟主幹に伺いました。

――想定を上回る申し込みでしたが、どのような経路で知る住民が多いのでしょうか?

市の広報誌でお知らせした他、テレビや新聞の取材を受けたことが影響しました。口コミで高齢者世帯にも伝わっているようです。高齢者の申込みが多く、申請書の記入に手間取っている方もおられるため、手続きはより簡素化が必要だと考えています。

焼津市 防災部 地域防災課 増井悟主幹

――限られた人数でのオペレーションを課題として挙げられていましたが、V-ALERTの実際の運用はいかがですか?

マルチメディア放送会社から提供されているクラウド入力システムは、操作も簡便で、最初は音声の録音に緊張することもありましたが、今はどの職員も慣れています。今後、情報入力手段の一元化は自治体共通の課題として認識しています。

――V-ALERTの今後の活用について展望を教えてください。

戸別受信機を現在は災害情報伝達の補完として位置づけており、防災以外での利活用は未定ですが、加古川市などの例を踏まえて、広報や生活情報の発信についても検討していきたいです。それぞれの市町村の災害情報伝達手段や体制などを踏まえて、事前に十分な検討をすることで、V-Lowマルチメディア放送は、防災分野で有効なツールになると感じています。

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