i-dio

【SPECIAL INTERVIEW vol.01】第3の放送「i-dio」が未来のメディアの常識をくつがえす!(慶応義塾大学メディアデザイン研究科 教授 中村伊知哉さん)

2016年3月にスタートした「i-dio(アイディオ)」はこれまでにない、新しいメディア。「i-dio」から見えてくる、メディアの可能性とは?

※この記事は、TOKYO FMで放送した「SCHOOL OF LOCK!」を再構成したものです。

新放送サービス「i-dio」は、アナログテレビの放送が終了した後のVHF-Low帯(99MHz~108MHz)の電波を使ったデジタル放送(V-Lowマルチメディア放送)。高音質なデジタルラジオを主軸とした、既存のテレビでもラジオでもない、全く新しい“第3の放送”です。
「i-dio」の可能性について、慶応義塾大学メディアデザイン研究科教授、中村伊知哉さんにお話を伺いました。

01 What's New

テレビでもラジオでもない!?
新しいメディア「i-dio」とは?

i-dioを使用するイメージ

まず、中村さんが考えるメディアについて教えてください。

中村
私はメディアは「魂」を伝えるものだと思っています。ラジオ、テレビ、新聞や雑誌だけでなく、私たちが普段使っているTwitterやLINE、FacebookなどのSNSもすべて、熱い魂を伝えていますよね。そういうものをざっくりとメディアと呼んでいて、そのなかで、今年誕生したのが新しいメディア「i-dio」というわけです。

今までのメディアと「i-dio」は、どこが違うのですか?

中村
「i-dio」は、internetの「i」とradioの「dio」を組み合わせた造語で、まさにテレビでもラジオでもない新しい放送サービスです。テレビは映像を放送し、ラジオは音声を放送していますが、「i-dio」は映像や音だけでなく、デジタルデータを送ることができるのが大きな特徴です。データを送ることができるということは、裏を返すと何でも送ることができるということ。文字でも音でも映像でもゲームでも何でも送れるのが「i-dio」のすごさなのです。
中村伊知哉さん放送の様子

ところで、電波・放送・通信の違いとはどこにありますか?

中村
「i-dio」は電波を使っています。つまり、テレビやラジオと同じように電波で送ること「放送」をしています。一方で、電話やネットなど、1対1でやりとりするものは「通信」と呼んでいます。ところが最近では、YouTube、ニコ生、LINE LIVEなど、「通信」なのに「放送」のようなものも数多く出てきていますね。逆に「i-dio」は、「放送」なのに「通信」のような要素も多く含んでいます。これは今までにない全く新しいものと言っていいでしょう。

他メディアと「i-dio」の違いは?

中村
放送はみんなに一斉に送ることができるもの、通信は1対1でコミュニケーションをとるものというのが基本です。それぞれに大きなメリットがあります。例えば、テレビやラジオなどの放送は、基本的に無料で使えて、契約をする必要がありません。多くの人が一斉に見ることができるのに、ネット(通信)のように速度が遅くなったり、混雑することもありませんよね。
つまり「i-dio」には、通信の集中などの問題がなく、災害時の活用にも期待ができます。東日本大震災の時は、ラジオがとても重宝されました。ラジオの強みを最大限活かそうとしているのが「i-dio」です。
今は東京・大阪・福岡から放送を開始していますが、これから順次エリアを拡大していく予定もあります。

テレビでもラジオでもない、新しい放送です

AUDIO
地上波最高音質の
音楽チャンネルなど、
多彩な音声チャンネルが
展開されます
VISUAL
映像やデータ放送など、
多彩なデジタルサービスを
スマートフォンや
カーナビゲーション・
デジタルサイネージなどに展開します
DATA-CASTING
輻輳しない放送波の利点を
生かしたデータ配信で、
安心・安全情報や
IoT時代のインフラ
サービスをお届けします

テレビと同じように、FMラジオも「i-dio」に切り替わっていくのでしょうか?

中村
「i-dio」とFMラジオはイコールではありません。「i-dio」はFMラジオとは関係のない、新しい放送が生まれたという感覚で捉えてもらうのがいいと思います。FMラジオは優良なメディアなので、これからもなくなることはないでしょう。 「i-dio」の電波は、テレビのアナログ放送で使われていたものです。2011年に地デジに完全移行して、アナログ放送の電波を使わなくなったなり、それを使って今までにないものを作ろうというプロジェクトが立ち上がりました。そして誕生したのが「i-dio」というわけです。
「i-dio」の放送では、デジタルのデータを送っているので、音や映像だけでなく、ゲームのアイテム、LINEスタンプ、マンガ、地図、クーポンやポイントなど、さまざまなデータを放送で送れるようになります。

放送は24時間やっているのですか?

中村
チャンネルもいくつかあり、24時間放送しています。今はまだ放送を開始したばかりで、放送エリアが限られていたり、番組数も少ないのですが、これからどんどん増えていく予定があるので、そこも期待したいですね。
放送エリア地図
北海道(開業準備中)
北海道
東北(開業準備中)
青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東・甲信越(2016年3月開業※)
茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県
東海・北陸(2016年7月開業※)
富山県、石川県、福井県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿(2016年3月開業※)
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国・四国(開業準備中)
鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州・沖縄(2016年3月開業※)
福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

※2016年7月の開業エリアは福岡・東京近郊・大阪・東海の4地域です。

「i-dio」は普通のラジオでは聞けないのですか?

中村
スマートフォンに「i-dio」のアプリをダウンロードして、専用のWi-Fiチューナーと組み合わせると聴くことができます。「i-dio」が最初から内蔵されていてWi-Fiチューナーがなくても聴くことができる「i-dio Phone」も発売されています。これからさまざまな受信機、受信方法が選べるようになるでしょう。
i-dio wifiチューナーi-dio phone

02 Future

新しいメディア「i-dio」が叶える未来の可能性とは?

今後「i-dio」が広がっていった場合、どんな番組が放送されると思いますか?

中村
無限に可能性があるので、まだまだ未知数です。データで何でもでも送ることができるので、今は思いつかないことも「i-dio」を通してできるようになると思います。

私たちが思いつくことは何でもできそうですね!
中村さんが、「i-dio」でやってみたいことはありますか?

中村
そうですね、今すぐにでもやってみたいのは、デジタルサイネージ(電子看板)向けの放送です。街や駅にあるデジタルサイネージに電波を送って、時間によって内容を切り替えたり、地震が起きた時には、全ての看板に「逃げろ!!」っていう文字を送ることもできるようになるといいですね。
i-dioでデジタルサイネージ向け放送のイメージ
中村
あとは学校でも使ってみたいですね。教科書をデジタル化したいと思っています。実は、日本政府も2020年までに小中学校の生徒1人に1台タブレットを整備する目標を掲げています。教科書や教材を「i-dio」でタブレットに送ればいいのです。
i-dioで教科書、教材を送るイメージ
中村
これから、家庭でも3Dプリンターが普及すると予想しています。そうなった時には、3Dプリンターを使った放送もやってみたいですね。物を3Dで印刷できるので、「i-dio」を通してフィギュアをプレゼントすることもできます。「i-dio」でデータを送ったら、家の3Dプリンターで印刷されて、フィギュアを受け取ることができるんです。考えるだけでワクワクしますよね。

最後に中村さんから一言!

中村
「i-dio」は2016年3月1日に放送が始まったばかりですが、本当に無限の未来が広がっています。「i-dio」はみんなで参加して「みんなでつくる」メディアだと思います。どんどん参加して、新たな未来を一緒に作っていきましょう。
i-dioは「みんなでつくる」メディア

中村 伊知哉 さん プロフィール

中村伊知哉さん
1961年生まれ。京都大学経済学部卒。慶應義塾大学で博士号取得(政策・メディア)。
1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。通信・放送融合政策、インターネット政策を政府で最初に担当するが、橋本行革で省庁再編に携わったのを最後に退官し渡米。
1998年 MITメディアラボ客員教授。2002年 スタンフォード日本センター研究所長。2006年より慶應義塾大学教授。

ページトップへ